青少年有害社会環境対策基本法案 著作権について組合の意見 成人ジャンルで活動される作家様へ

成人ジャンルで活動される作家様へ

 同人誌は自分の作品を冊子にして、多くの人々に手にとって頂き、楽しんでもらったり、評論してもらう事に喜びがある自費出版活動と言えるでしょう。

 私達印刷業者はその活動のお手伝いができる事に喜びを感じ、「表現の自由」の応援団たる立場に誇りを持ち続けたいと思っています。

 しかしながら「表現の自由」が保障されているとはいえ、法律に抵触しうるものまでを強引に押し通せるとは限りません。特に「成人向け同人誌」については、「わいせつ図画」の頒布等を禁止した「刑法175条」、都道府県などの地方自治体単位で制定され、青少年に有害な表現を含む書籍等の青少年への頒布等を制限している「青少年健全育成条例」、さらに実在する児童の性行為等を写真等として固定化することを禁じた「児童ポルノ法」(現在はマンガやアニメ等想像上のキャラクターは対象となってはいませんが、実在する児童による現実のわいせつ行為の模写、写真等については抵触します。実際のわいせつ行為を伴わないヌードやセミヌードの模写や写真については、規制の対象となる可能性があります。)といった法令によって規制されています。同人誌といえども当然これらを守らなければなりません。

 私達は「表現の自由」を最大限尊重する立場であるとしても、法律に違反するものは印刷できません。

 何の信念や自覚も持たず、「この程度なら… 」「この方が売れるから… 」と、安易に考えて描いたものが事件として問題になり、法律や条例で処罰されたり、処罰に至らなくても摘発に伴う騒動が報じられた場合、作者と印刷所だけの問題にとどまらず同人誌界全体の存亡に関わってくる大問題となる可能性があります。

 これらを踏まえ、以下の表現については慎重な対応と自主規制が必要と考えます。

  • 刑法175条に抵触すると思われる「わいせつ図画」は印刷できません。
    具体的な判断基準はありませんが、「性器の露骨な描写」という判例もありますので、しっかりとした自覚を持って、きちんと性器に修正を加えて下さい。
  • 青少年健全育成条例による「有害(不健全)図書類」指定の対象となりえる作品(※)は18才未満の読者が手に取らないよう、対面販売や表紙に「成人向け」表示をする等の工夫をお薦めします。(表示することのデメリットも充分考慮して下さい)
    (※)東京都条例の場合 「青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するもの… 」
  • 冊子の内容について責任の所在を明確にするためにも「奥付」は必須です。発行者名、連絡先、印刷会社名などの要件をきちんと記入してください。

 各印刷所は、それぞれ個性や考え方があります。ですから、以上の「基本ライン」はあくまでも指針です、個々の対応は各印刷会社の責任のもと対処させていただきます。

 皆さんの同人活動の場・表現の場を今後も確保していくため、寛大な理解をお願いします。

2010年6月
日本同人誌印刷業組合
理事長 阿 戸 貴 之